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クレヨンイーター主催「VOID #1」@下北沢LIVEHOLIC

2016/04/29

4月28日、大型連休を目前にしたこの日、クレヨンイーター主催「VOID #1」が開催された。
そこには新たな可能性を知る、音楽体験が詰まっていた。現場に潜入取材を敢行!

あいにくの雨に見舞われた東京、夕方に近づくにつれ雨足も弱まり、人が集まりだす18時。開演前のライブハウスというのは、とてもワクワクする場所だ。予定時刻の19時ジャスト、ライブがスタートした。

John Doe Tokyo
1組目はJohn Doe Tokyo、ボーカルがイギリスでの音楽活動を経て帰国、今年バンド活動を再開したという情報もあり、どんなステージを見せるのか期待が高まる。1曲目の「Fiesta」から、タイトル通りド迫力の演奏だった。

ムトウレイ(Vo,Key)が鍵盤にうなだれるように弾くピアノはムーディーで、一般的に想像する柔らかさとは違い、フロアを目指して鳴らされる。ギター、ベース、ドラムのバンドサウンドを後押しするホーン隊といい、確実にスタートから狙いに来た。その証拠に始まったばかりだというのに、既にフロアが揺れているじゃないか。

続く2曲目はホーン隊が外れ、バンド構成で披露される。『懐かしい曲』と紹介された「If you feel like i feel the way i dream」は疾走感のある軽快なナンバー。前身バンド時代の曲という「Solfeo」はUKロックをルーツに持つ彼ららしく、小気味良いフレーズがブルースに展開していく。

ライブ中盤にさしかかり、再度ホーン隊が登場。イギリスで音楽活動を経て日本に帰国したムトウが、現地の人に宛てたという「A59」が始まる。イギリスでの経験を踏まえて制作されたであろうこの曲はドラマチックで、今後のバンドの振り幅を物語っていた。

続いてYouTubeでも動画が公開されている彼らの代表曲「Action Please」で盛り上がりを魅せる、さっきまでは丁寧に聴かせるイメージだった歌唱法ががガラリと変わり、一直線にフロアに飛んでくるロックサウンド、続く「Buy Me Love」では更にボールテージを上げて行く。全部のパートがガチっとハマっていて、まるでモンスターでも出てくるんじゃないか?と思う迫力。更には哀愁を思わせるメロディーへと展開するロックンロール・ブルースに、自然に体が揺れてしまう。

そして迎えたラストは「Will i see you again」、甘美で壮大なメロディーをラストに持ってくるところがニクい。ライブパフォーマンスの見せ方と、聴く側の心情も読み取ったみたいなセットリストだ。英詩なので歌詞の内容までは分からなかったけれど、懐かしい風景を心に描いたような曲だった。

郷愁という言葉が合うのかは分からないけれど、John Doe Tokyoが懐かしいと思う故郷の景色があるとするなら、それは日本なのか、イギリスなのか、と尋ねてみたいと思う、魅力溢れるステージだった。

ヘンショクリュウ
続くステージはヘンショクリュウ。
ブラックミュージックやヒップホップをバンドサウンドで表現する彼らのスタイルは、今日のイベントの中でも異色な存在感を放っていた。

スタートから「新しい踊り方」「新しい数え方」の2曲立て続けに披露。『スゲー気持ちいい!』とMCで叫ぶハギハラ”ZINE”ヂーノ(Vo,B)の愛嬌のある表情と発音の良い『tahank you』という言葉が印象的だ。続く「逃げ出したい」ではどっしりと重いビートが打ち鳴らされ、フロアがじっとりと熱を帯びて揺れて行く。

―――記事を書きながらも改めて思うのだが、ヘンショクリュウのライブは気になる事だらけだ。
今回だけの偶然もあるとは思うが、ギターだけステージ下手(シモテ:ステージ見て左側)に少し離れて立つポジションは、もしかしたらメチャクチャ動くから離れてる?と想像してしまうし(余白の心理誘導)あと妙なツインドラム。立ったまま叩くパーカッション的な存在で、やたらと高いところにあるシンバルが気になって仕方がないし、メインのドラムはエフェクトがかかっていて、絶妙なビートを生み出して行く。更にボーカルのキャップオンフードというストリートな出で立ちに、正にベストマッチなヘッドレスのスタインバーガーの見た目のインパクトも気になって仕方がない。1回見たら忘れられなくなるとは、この事かも知れない。

リズムはループしているにも関わらず、ヒップホップを取り込んだ歌のリリックが、時計の針をどんどん進めて行くので、時間も天地も分からなくなるようなサイケ感。

きっとヘンショクリュウには自身の音楽をカテゴライズする言葉が無い、どれだけ気持ちがいい音を鳴らせるか、どれだけフロアに熱を持たせるか、全力で音楽を楽しんでいるメンバーを見ると、考えすぎていする自分が恥ずかしくなってきた。

続くセッションから楽曲へなだれ込んで行く「愈々、宴も酣」のドロドロとした曲展開、絡みつくねちっこいボーカルを繰り出しながら、良くフロアを見ているハギハラ、こちらの煽り方もさすがだ。レゲエ調のイントロで始る「新しい闘い方」で、フロアがまた揺らされて行く。

ドラムのビートからラスト2曲「砕々々」、「二重夢」、計7曲でステージを終えた。もしも彼らのライブ中に手にビールを持っていたら、急にボコボコ泡が吹いて、緑色のスライムが溢れ出してくるんじゃないか?とも想像してしまった。終始驚きの絶えないステージだった。

gateballers
3組目はgateballers。先に言っておくと、とても素晴らしかった。

1曲目は「end roll」。スリーピースだし、歌ものだし、もの凄い派手な事をしている訳ではないけれど、バンドサウンドの安定感と歌の聴かせ方が最高に上手い。

続くカントリー調のリフから始まる「寂しい宇宙」では、間奏で突き抜けるギターに目を奪われた。
メインギターも担当するボーカルが一番輝く瞬間は、間奏中のギターソロ。歌から解放され、純粋な「ギター少年」に戻ると思っては居るけれど、間違いなくgateballersの濱野夏椰(Vo,G)もそのひとりだ。

MCはなく、チューニングだけ合わせストイックに続くステージ。『元気のいい歌を』と一言だけ紹介された「カルピスみたいな女の子」は淡い青春ソング。

―――ライブハウスやステージの規模に関わらず、しっかりと歌詞が聞き取れて、物語や情景がくっきりと浮かぶ楽曲というのは、当たり前には作れないと力説したい。ボーカルの歌唱力、歌詞の構成力、そしてメロディーの説得力。どれかひとつでも欠けても、焦燥感を感じるほどの物語は伝わらないのだ。はっきりと聞き取れる言葉を歌い上げるのは才能だ、そしてそれを理解している本村(B)と、久富(Dr)のバランス感覚も絶賛するべきだ。gateballersを聴いていて感じる感覚はもしかしたら、歌とメロディーを全面に押し出すように鳴らしているリズム隊のテクニックとも考えれる。

続くYouTubeで公開されている「レモンソング」は、何度聴いても焦燥感を煽るラブソング。続く「新曲(タイトル未定)」では、ギターとベースのリフから始まった、これからの季節に合いそうな、たとえば夏休みの最後の日の切なさと、青空に見下ろされているような、愛おしい青春ソングだった。

「Beautiful Woman」の後に、ラストナンバー「バグダッドカフェ」が鳴る。あの映画の?と思っていたら、ラストになってガッツリ歪ませてきたギターとボーカルはシューゲイズ感満載、絶対に隠し持っていると思っていたサウンドだったので、『待ってました!』と声を上げたくなった。フィナーレにそんな曲を持って来られたら、もう一度あのギターに溺れたいと思うってしまうのは私だけではないはずだ。

 

クレヨンイーター
今回のイベント主催者で大トリを飾るクレヨンイーター。
転換中に降りていた幕が上がると、目覚まし時計が鳴り出した、何が起きたのかとステージに目をこらすと、市川マコト(Vo.G)が朝の訪れを告げ、1曲目の「性別があるらしい」が始まった。

まず、インパクトを覚えたのは、猿の車掌さんみたいなぬいぐるみ帽を被って登場した市川、ビシッとしたスーツ姿のアキヤマ(G)、紅一点・小野町子(B)は、おとぎ話に出てくるかのようなメルヘンチックな衣装(更にロングヘアーのウィッグ)、武藤(Dr)はロック戦闘態勢の証であるTシャツ。果たしてどんな世界に連れていかれようとしているんだ?という驚きが隠せない。

続く「ヘッドフォンしてるから無敵!」、歌詞の中にも出てくるが、市川が甲本ヒロトを崇拝しているであろう事は、語られなくても分かる。特にステージ狭しと飛び跳ねる様を見ていると、フロアにいるこちらも、負けじと盛り上がる。音楽好きにはドストライクに共感出来る1曲だ。

他の出演者を労うMCの後、スタートからずーっと気になっていた物へと注意を引かれる、マーシャルのギターアンプの上に、何が乗っていて、何だろう?と思っていたら紙芝居だった。『昔話』と紹介されて始まった「猫が歩いてたよ」と、サビで合唱したくなる「君が言うなら」

ーーーロックンロールは歌謡曲だと思う事がある。青春を謳歌する為に鳴らされるのだから、みんなで声を上げて歌い、讃え合う事が美しいと、ライブで教えてくれるのが、真のロックンロールヒーローだ。

クレヨンイーターは、そのバンド名の宿命において、多様性を追求していくんだろう、古き良き歌謡曲と、ポップスと色を掛け合わせ、新しい色を生み出して行く、でもその過程で生まれるのは、加色の果てにたどり着く「黒」だ。その本質が、彼らの、もしかしたら市川の音楽活動の理由なのではないだろうか。ネガティブな黒は、単純に生み出されるな暗さではない、混ぜた色から生まれる悩みは多種多様なのだ。

ステージでは続く「空飛ぶ象」「おめん」。楽曲から語られる孤独感は、質感が違うものになっているが、「おめん」という曲は少々堪えたところがある。市川の自慢のコレクションというおめん。毎日『どれにしよう?』とワクワクしながら選んでいたそうだが、それはきっと本人以外から見れば、奇妙な行動に映るだろう。だが本当は違う、市川からしたら、大切な時間を大切な人と共有するためのオシャレである。その内面から溢れる不器用な人間味をどう説明したらいいのか分からないが、潔いほど人間臭い讃歌だった。

更に今夜初披露という新曲「THE WHO」は、今後のライブアンセムなるであろう勢いのある楽曲、ギターのアキヤマがピート・タウンゼントよろしく風車奏法をちゃんと繰り出したのも、もちろん見逃してはいない!更にアッパーなテンションから続く「悪魔の涙」は、アタックが強く、手数も多くてキレのある武藤のドラムも、小野のセンスのいいベースライン(小町ちゃん可愛すぎ)も、ステージ前面で絡む、市川とアキヤマのツインギターが唸り、ライブのクライマックスを迎える。間奏ではきっと誰よりコミュ障だろうと思える市川が珍しくシャウト、ステージ4人のボルテージに引っ張られるように盛り上がりをみせた。

ラストは「人間不信なみなさんへ贈ります」と紹介された「サタニックマジョルカ」はそれこそ、様々な色が混ざり合ったような展開をみせる楽曲で、好きなものを全部クロスオーバーしてしまおうなんて、ちょっと欲張りな気もするが、クレヨンイーターの音楽を愛するステージは、感動的だった。

後半のMCでは、秋頃に13曲入りのフルアルバムをリリースするという。
そして今後も「VOID」を続けて行くいうので、新しい情報は入り次第こちらで紹介したいと思う。

ロックンロールが鳴った素晴らしい夜だった。 ○クレヨンイーター - LIVE Connection

<LIVE Connection x Sonar-U主催イベント>

6月9日(火) @新宿Live Freak 
クレヨンイーター / The Adres / ゆうせいから / and more

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